神は骰子を振らない

63年前の今日、
父方の祖父は東京大空襲で死んだ。
「亡くなった」のではなく「死んだ」。
隅田川に飛び込んで死んだという話を聞いたが
それも本当か分からない。


その数日前、
福島の田舎に祖父に連れられて
遊びに行っていた父は牛小屋で寝てしまい
東京に戻る電車の時間に間に合わない、
次に来たときまで預かってくれと
祖父に言われたおかげで今でも生きている。


両親なしで苦労して育った父に
産んでもらった息子は放蕩で生への固執が全くない。
戦争のことはリアルに分からない。
ただその日、きちんと語られない大虐殺があったことは事実だ。
この日になると少しだけセンチになる。
頭の中だけの戦争。
きっと忘れてはいけないことなのだ。